6178 日本郵政(株)

チェック銘柄
ジンベエ
ジンベエ

日本政府(財務大臣)が大株主、資産約300兆円の超巨大企業グループです
日本郵便㈱、㈱ゆうちょ銀行、㈱かんぽ生命などの親会社になります

  時 点    株 価    1株配当   配当利回り 
21年11月12日855.9円50.00円5.84%

セグメント別の事業概要

  1. 生命保険 事業
    • 生命保険業など
      保険契約数は約17,000千件、2019年の不祥事報道以降、減少傾向
  2. 郵便・物流 事業
    • 郵便、郵便物の作成及び差出しに関する業務等並びに物流事業等
      郵便、ゆうメール、ゆうパック、などのサービスを展開
  3. 銀行 事業
    • 銀行業など
      子会社であるゆうちょ銀行による銀行業務、約200兆円の資金を運用
  4. 国際物流 事業
    • 豪州を中心としたグローバル市場におけるエクスプレス、フォワーディング及びロジスティクス事業など
  5. 金融窓口 事業
    • 郵便・物流事業、銀行、保険に関する窓口業務、物販事業、不動産事業、提携金融サービスなど
      全国約23,000か所の郵便局にて窓口業務などを展開
  6. その他
    • グループシェアード、病院、宿泊、投資、不動産 事業など
Memo

・売上の主力は生命保険事業、減少傾向が続く
・その他事業はほぼ横ばい、

業績推移 (利益を稼ぐ能力)

Memo

売上は右肩下がり、14年3月期 – 22年3月期の8年間で15.2兆円から10.6兆円まで減少
営業利益も右肩下がり、14年3月期 – 22年3月期の8年間で1.1兆円から0.7兆円まで減少
・営業利益率は7%前後で安定

配当方針 及び 配当推移

有価証券報告書「配当政策」抜粋  (21/3月期)

・ 経営成績に応じた株主への利益還元を継続して安定的に行うことを基本方針
内部留保の充実に留意しつつ、資本効率を意識し、着実な株主への利益還元を実現するため、安定的な1株当たり配当を目指す

EPS=当期純利益÷発行済み株式総数
Memo

・一株当たり配当金は直近6期は約50円程度で安定
・EPSは減少傾向にあるため、配当性向は上昇傾向
・「安定的な1株当たり配当を目指す」としており、50円/株を目安にしていると思われる

ジンベエ
ジンベエ

安定的な配当を目指すという方針のもと、
直近は利益(EPS)が減少している中、50円/株を維持しています
高配当投資家としては利益減少の中でも配当を維持する姿勢は好感です
一方、配当性向が60%に近づいているため、減配リスクは高い?と思っています

安全性 (資金がショートしないこと)

Memo

自己資本比率は4~5%程度で安定
※銀行業界の自己資本比率は1桁が多いです
※海外拠点のない「国内基準行」は4%以上、海外拠点を持つ「国際基準行」は8%以上が求められています
・業績に反して現金等は右肩上がり
※お客様(私たち個人も含む)から預かったお金の運用先に困っているため、手元資金が積みあがっているように見えます

営業CF推移 (Cashを稼ぐ能力)

営業CF配当還元率=配当支払い額÷営業CF
Memo

・21年3月期に営業CFが急増
直近8期のうち4期で営業CFがマイナス

ジンベエ
ジンベエ

21年3月期の営業CF回復のうち6.6兆円が「貯金の増加」でした
21年3月期「投資家説明会資料」によると、『新型コロナウイルス感染拡大に伴う特別定額給付金の支給や外出自粛による消費抑制等』が原因と記載がありました
銀行業は「貯金」を運用(融資など)して利益を上げるビジネスモデルなので、
喜ばしい要因とはいえません

その他 (本銘柄固有のあれこれ)

日本郵政グループは総資産が297兆円もある超巨大企業グループです
郵便事業のイメージが強いかもしれませんが、
 生命保険(かんぽ生命など) 売上6.7兆円、利益3,457億円
 郵便・物流(日本郵便など) 売上2.0兆円、利益1,265億円
 銀行(ゆうちょ銀行など)  売上1.9兆円、利益3,942億円
と、生命保険で売り上げて、保険・銀行で稼いでいる企業です

また21年3月末時点、日本政府(財務大臣)が63.29%を保有する企業です
※21年11月時点、第三次売り出しが実施されてたことにより、保有比率は減少する予定

調べていた中で一番気になった点は、2015年に実施した海外企業の買収です
2015年5月に6,200億円もの大金で子会社化したオーストラリアの国際物流企業(トール・ホールディングス)を2021年8月にたったの7億円で売却しています

生命保険、郵便・物流、銀行と、もともと国営企業ということもあり国内色の強い事業を展開している中、成長機会を海外に求めて巨額の資金を投入したところまでは評価できますが、
たった6年で撤退しただけでなく、6,200億円で買ったものを7億円で売却するなど、
なんというか、資金感覚や判断根拠、買収後のコントロールなど大丈夫かな?と思ってしまいます

乱暴な表現をすると、
ローソンや良品計画(無印良品)の時価総額が約6,000億円なので、
ローソンや良品計画を買収し、たった6年でほぼ価値がなくなり売却した感覚でしょうか

直近ではかんぽ生命保険商品の募集品質にかかわる問題などの不祥事報道もありました

まとめ

まとめ

・生命保険事業は売上が急減、他事業は横ばい
・営業利益は右肩下がり、営業利益率は7%程度で安定
・「安定的な1株当たり配当を目指す」とし、直近4期は50円/株を継続
・その結果配当性向は60%程度に近づいているため、減配リスクもあり?
・直近8期のうち4期で営業CFはマイナス
・海外企業の買収失敗、かんぽ生命不祥事など、リスクをコントロールできていない

総資産約300兆円の超巨大企業ゆえ、1%資産効率が悪化するだけで3兆円の影響がでます
現在は海外子会社買収失敗、けんぽ生命不祥事など、マイナスに働いているように見えます
逆に考えると資産効率が1%改善するだけで3兆円も業績が回復する可能性を秘めています

日本政府による日本郵政株式の第三次売り出し後、経営層がどのように入れ替わるのか(入れ替わらないのか)、経営方針は変わるのか(変わらないのか)注目です

ジンベエ
ジンベエ

今後も50円/株以上が安定的に継続するとすれば、配当利回りが5.8%である今は高配当銘柄として仕込み時と考えます
超巨大な企業の社風や利益を追求する体質を変えるのは簡単じゃないので、
しばらくは悪い材料もぽつぽつ出てくるように感じました
一方で、私たち日本の資金、資産を300兆円規模で運用している企業グループです
300兆円を有効に活用して日本に利益還元してほしいという思いより、
多少のリスクは想定した上で、1~2単元の保有を検討したいと思います
投資は自己責任・自己判断でお願いします

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