ニュースなどで気になった銘柄について
自分で調べてみたいけどどうやったらよいのかな?
購入目的によって調べるべきポイントは色々あります
長期保有を前提とした場合の調べ方を紹介します
本記事のテーマ
【完全初心者向け】銘柄分析のノウハウ をご紹介します
※ 長期投資が前提のため、短期売買で重要となるチャート分析はご紹介していません
※ 上場企業のIR資料作成サービスなどを行っている (株)プロネクサス を事例にあげて紹介しています
データで概要を把握する
まず最初にデータで概要を把握しましょう!
客観的なデータは嘘をつきません
色々な先入観を持つ前に、今現在のデータをざっと確認しましょう
自分が見やすいと思ったサイトを使って検索するだけなので10分もあれば確認できます
可能であれば、2つくらいお気に入りのサイトを見つけてざっと確認するとよいです
参考① 自分が使っている証券会社で検索してみる
出展:楽天証券 より
参考② 無料サイトを使ってみる:バフェット ・コード
出展:バフェット・コード
参考③ 無料サイトを使ってみる:IR BANK
出展:IR BANK
難しいことは気にせずに、
これくらいの規模感なんだ、最近は売上が伸びてるな、株価は下落しているな、上場してから5年しか経っていないんだ
程度の感覚で大丈夫です
重要なのはニュースなど調べようと思ったきっかけとなった情報はすでにこれらのデータに反映されているので、
自分が『買い』と思った感覚と実際のデータを比較してみるという作業です
会社の事業を理解する
次に、会社の事業を確認しましょう!
会社の事業を確認するには、
もっとも正確に理解しもっとも適格に発信しているサイト
その会社のWebサイトを確認しましょう!
自社Webサイトの見やすさや丁寧さは会社によってまちまちです
個人の経験では自社WebサイトやIRページが見やすい会社はお客様や投資家に「見られること」「伝えること」を意識している会社が多いためか、長期的に株主が報われている企業が多いように思います
- サービスを理解する
- 企業が展開するサービスごとに(主にお客様向けに)サービス内容を説明しています
お客様を意識した記載が多いため分かりやすく記載されていることが多いです
- プロネクサスの場合はこんな感じです
– 上場企業関連 ・・決算支援、総会支援、教育支援 など
– IPO支援 ・・書類作成支援、サービス概要の説明 など
– 投信会社関連 ・・募集、継続開示支援、アウトソーシング など
– J-REIT関連 ・・運営会社設立支援、決算支援 など
- 企業が展開するサービスごとに(主にお客様向けに)サービス内容を説明しています
- 会社基本情報を理解する
- 社長メッセージ
社長としてどのようなことを重要視しているかがわかりますのでチェックしましょう
社長の写真が載っていない会社は、私は信用していません
- 経営理念など
会社としてどのようなことを重要視しているかがわかりますのでチェックしましょう
通常、社内に対しても周知徹底されている内容なので、社風がなんとなく伝わってきます
精神論に重きをおいているようなブラックな雰囲気の会社は、私は信用していません - 役員陣
名前だけ開示している会社、顔写真も開示している会社、経歴やコメントも開示している会社、色々ある印象です
顔出しの会社は信用しています
また、役員が多すぎないか、多様性があるか(男女、外国籍など)などもぱっと見でわかります - 沿革
過去から同じ事業をひたひたと続けて成長している会社か、
業種転換を繰り返して大きくなった会社か、
M&Aや海外進出等、アグレッシブな会社運営か、などがぱっと見でわかります
- 社長メッセージ
- IR情報(Investor Relations)=投資家向け広報活動
法律で決まった開示資料は記載ルールが決まっていて会社の個性を出しにくいため独自に資料を作成して開示していることが多い- 個人投資家向け開示資料
個人投資家向けに専門用語をあまり使わず、図表等を多用したわかりやすい資料を作成して開示している場合が多いです
- 決算説明資料
期末決算と第2四半期決算のタイミングで投資家向けの決算説明会を行い、その内容をWebサイトで開示している場合があります - 業績・財務の概況
法律で決まった開示資料の内容から数字に関する大事な部分を抜き出して見やすく開示している場合が多い - 中期経営計画
3~5年程度の売上や利益目標を開示していることがあります
社長、取締役会が承認し投資家向けにコミットする数値であり、その数値を達成するための戦略が記載されています - IR資料室/IRカレンダー
IR資料として作成した資料一式を過去のデータも含めて網羅的に開示
- 個人投資家向け開示資料
会社Webサイトで事業を理解し応援したい、長期間保有してもよい会社と思ったら、投資判断をするために法定開示資料を確認しましょう
法定開示資料を確認する
「法定開示資料」と聞くと難しそうですよね?
確かに、単語や書式に慣れるまでは大変です
一方で一度マスターしてしまえば約4,000社ある上場企業が同じルールに基づいて、過去も未来も開示しているため、株式投資を行う上ではとても便利な情報源になります
また、株価を左右するような大口の投資家は深さの違いはあれ、必ずチェックしている資料になります
投資で負ける可能性を減らすためにも読めるようになることをお勧めします
- 決算短信
- 1年間の業績を速報ベースで伝える資料となります
- 四半期決算短信
- 3か月ごとの累計業績(3か月、6か月、9か月)を速報ベースで伝える資料となります
- 有価証券報告書
- 1年間の業績の正式な報告資料となります
- 四半期報告書
- 3か月ごとの累計業績の正式な報告資料となります
- 適時開示書類
- 投資判断にかかわる適切な材料を正確かつ公平に提供するための資料となります
「短信」と「報告書」は記載される情報量と、監査法人の意見の有無が異なります
基本的な財務数値に関していえば「短信」と「報告書」でズレることはほぼないため、
日々トレードしたい投資家は「短信」を用いた分析をお勧めします
私の場合は多少の値動きは置いといて、配当目的の長期投資をベースとしているため、
情報量の多い「報告書」を用いた分析をしています
全て、世界中の人が無料でアクセスできる情報です!
短信 ・・各社Webサイトより(プロネクサスの場合)
報告書 ・・EDINET または 各社Webサイト(プロネクサスの場合)より
適時開示書類 ・・適時開示情報閲覧サービスより
財務諸表分析をする
ここまで進めば検討対象の会社のことを周りの家族、友人にプレゼンできるくらい理解が深まったのではないでしょうか?
最後に、投資という世界で負ける可能性をぐっと減らすため、
財務諸表分析の方法をご紹介します
自分なりの財務諸表分析の方法やルールができると、株式投資で大損する可能性はぐっと下がります
1.成長性分析
成長性分析は、本業のもうけを示す営業利益とその源泉である売上高の推移から、企業がどのように成長してきたか、将来はどうなりそうかを分析する手法です
増収増益か、増収率や増益率は鈍化していないかなどが大事になります
例えばプロネクサス社の場合、売上は増収傾向が続いているものの、
21年3月期をピークとして利益は減少していることがわかります
利益の減少が一時的であれば、売上が増加している分、23年3月期以降の大幅な増収が期待できるでしょう
他にもこんな指標を使ったりします
2.収益性分析
収益性分析は、どの程度稼ぐ能力をもっているかを分析します
同じ売上100でもA社は最終利益が40、B社は最終利益が10であれば、A社の方が稼ぐ能力が高いといえます
収益性の高い企業は少ない売上で多くの利益を稼ぐことができます
成長性分析と同じ画像に「粗利率」「営業利益率」などを追加したグラフです(線グラフ)
プロネクサス社の場合、売上高の増減に関わらず、粗利率は40%程度、営業利益率は10%程度で安定していることがわかります
売上が100増えると、粗利が40程度、営業利益が10程度増加することがわかります
粗利率や営業利益率は医薬品のような高付加価値市場か1ドラックストアのような薄利多売市場かなど業種によって目安が異なるので同業他社と比較するのがよいでしょう
他にもこんな指標を使ったりします
3.安全性分析
安全性分析は、財務的に安全な会社か、支払い能力がある会社かを分析する手法です
倒産リスクを分析する手法になります
例えばプロネクサス社の場合は、自己資本比率が60%超と高水準です
自己資本比率とは総資産に占める自己資本(=返さなくてよいお金)の割合のことで、どの程度、返済不要の元本で会社を運営できているかを分析する指標です
ただ、ここ10年程度減少傾向が続いているため、
減少傾向がポジティブな理由なのか、ネガティブな理由なのか分析する必要があります
自己資本減少傾向の理由について
ポジティブな理由 ・・借金などをしてでも事業を拡大した方がよい場合
ネガティブな理由 ・・赤字が続いて自己資本が棄損している場合
他にもこんな指標を使ったりします
4.配当に関する分析
最後に、高配当投資によってFIREを目指す人が気にした方がよい指標を紹介します
配当金目的の投資の場合、減配や無配のリスクが高い企業への投資は避けないといけません
今後、安定して配当してくれるか、増配していれるかを判断する指標として、一株当たり配当金の過去の推移をチェックする必要があります
プロネクサス社の場合、15年3月期に1度減配したものの、過去10年間で増配傾向にあり、約2倍まで増配していることがわかります
こういった、安定配当、増配傾向にある銘柄は配当目的の投資と相性がよいです
配当利回りは高配当投資目的だと重要ですね
日経平均の配当利回りは約2.0%なので、3%を超えるようなら高配当といってよいでしょう
配当性向は1年間で稼いだ利益のうち、どの程度配当金に回しているかをはかる指標です
100%を超える場合は利益以上を配当していることになるので長続きしないでしょう
プロネクサス社の場合、ぎりぎり高配当銘柄といったところでしょうか
配当性向も直近は50%前後で推移しているので、無理のない水準といえるでしょう
5.その他
株式投資を行う上で知っておいた方がよい、分析しておいた方が良い財務指標は、単純なものから複数の指標を組み合わせた複雑なものまで様々あります
100以上はあるのではないでしょうか
英語の情報を理解するのに英語の知識が必要なように、
会社が公表する数値を理解するためには簿記の知識が必要になります
この点では簿記の知識はとても重要です
簿記の知識がなくても銘柄分析できるよう、「高配当銘柄図鑑」や「会計知識」を発信していきたいと思っています
いやいや、自分で財務分析をしたい!という方、
簿記を勉強してみようかな、という方には、
WEB環境があればいつでもどこでも学習ができる、料金が安いことよりスタディングの「簿記3級・2級セットコース」がおすすめです
スクールや教材はなんでもよいのですが、
2級まで学習するとビジネスや転職でも通用する知識を得られるため、3級と2級をまとめて学習することをお勧めします
というわけで以上です
ご質問やご相談は「お問合せ」から受け付けていますので、お気軽にご連絡ください
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