9104 (株)商船三井 銘柄分析

チェック銘柄
ジンベエ
ジンベエ

21/3期・22/3期の業績回復、高配当発表を受けて、2021年に株価及び配当利回りが急騰している銘柄です

  時 点    株 価    1株配当   配当利回り 
21年10月1日7,510円550.00円7.32%

セグメント別の事業概要

  1. コンテナ船
    • コンテナ船の保有、運航、コンテナターミナルの運営
      航空・陸上フォワーディング、陸上輸送、倉庫保管、重量物輸送等のロジスティクス事業も展開
  2. ドライバルク
    • ドライバルク船を保有、運航
      ※鉄鉱石、石炭、穀物、塩、アルミ塊、銅鉱石などさまざまな資源を梱包せずに大量に輸送する事業
  3. 自動車船・フェリーなど
    • 自動車専用船を保有、運航、フェリーを運航し旅客並びに貨物輸送を展開
  4. エネルギー輸送
    • 油送船、LNG船等の不定期専用船を保有、運航、海洋事業を展開
  5. その他
    • 不動産事業、客船事業、商社事業 など
Memo

・1903期にコンテナ船売上が大幅に減少している理由はコンテナ船事業を事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)へ移行したことが主な要因
売上全体的にもセグメント別にも減少傾向

業績推移 (利益を稼ぐ能力)

Memo

・売上は長期的に減少傾向
・営業利益率は低水準かつ不安定
近年はコンテナ船需要及び同運賃急騰などを背景に回復傾向

配当方針 及び 配当推移

有価証券報告書「配当政策」抜粋 (21/3月期)

・1株当たりの企業価値向上に努め、当面の間は配当性向20%を目安として業績に連動した配当を行う
・中長期経営課題として配当性向の向上にも取り組む方針
・財務体質はネットギアリングレシオ、および自己資本比率等を指標とし、配当性向の水準については東証上場企業の動向を踏まえて判断
※ネットギアリングレシオ=有利子負債÷自己資本。自己資本に対する有利子負債の割合

EPS=当期純利益÷発行済み株式総数
Memo

連結配当性向20%が目安業績と連動した配当制度
・「東証上場企業の動向を踏まえて」とは、同業他社である日本郵船の動向を意識していると思われる
・20/3期→21/3期は約2.5倍、21/3期→22/3期は約3.5倍と急拡大、
 一方、配当性向は21/3期、22/3期ともに会社の方針通り20%前後

ジンベエ
ジンベエ

直近の高配当は好業績に支えられた根拠がしっかりした配当
21/3、22/3期の好業績が今後も続くと仮定すると当期と同程度の配当は今後も期待できると思います
一方、過去10期のうちEPSがマイナスとなった期は3期あり、業績は不安定な印象です

安全性 (資金がショートしないこと)

Memo

・自己資本比率は25~30%程度で安定
・大型の船舶取得には数百億円単位の資金が必要となることから、投資計画にあわせて
 現預金残高の波があると思われる

営業CF推移 (Cashを稼ぐ能力)

営業CF配当還元率=配当支払い額÷営業CF
Memo

営業活動より、比較的安定的に1,000億円のCashを稼いでいる
・営業CFに占める配当の割合は5%前後、
 主に船舶入れ替えへの投資に活用していると思われる

その他 (本銘柄固有のあれこれ)

(株)商船三井が作成している「ローリングプラン2021」によると、21~23年の3年間で低・脱炭素分野に2,000億円の投資を行い、グリーン代替燃料導入や洋上風力発電事業への参入を行う方針とのことです

また、連結財務諸表上の有形固定資産は約1.2兆円
船舶は約7,100億円と一番大きいものの、建物と土地も約3,600億円も含まれています
海運は業績のアップダウンが激しいため、
連結子会社のダイビルなどによる不動産事業からの安定した収益源にも力を入れているのだと思われます
新規参入事業として発電事業を選択しているのも同じ理由でしょう

一方、本業の海運では数年後ないし10年先の国際的な物量と船の数という需給を予想する能力が経営に求められます
そのような業績が不安定な海運事業から、毎期安定的に営業CFを1,000億円稼ぐ経営能力はさすが商船三井です

株主構成については日本カストディ銀行などの信託銀行を除くと筆頭株主は三井住友銀行(約2.5%)、三井住友海上火災保険(約2.3%)でした
特定の株主の影響力を気にする必要はなさそうです

まとめ

まとめ

・売上高は全体的にもセグメント別にも減少傾向
・利益面はコンテナ船需要及び同運賃急騰など外部環境理由より急回復
・連結配当性向20%と業績連動配当であることを公言
・過去10期のうちEPSがマイナスとなった期は3期あり、業績は不安定
・自己資金比率は25~30%と安定
・新型船や新事業への投資原資として安定的な営業CFを背景とした投資計画がある

21/3期、22/3期の増配は好業績に支えらえたものでした
一方、ビジネス柄、業績が不安定であり、毎期安定した高配当、増配は期待しにくい銘柄と考えます

安定的に稼ぎ出している1,000億円の営業CFを元手に次の収益源(船舶、不動産事業、新事業)を育てていけるかが求められていると考えます
商船三井の計画どおり次の事業が育つと仮定するなら、22/3期の高配当による株高が一服した後が購入のチャンスでしょうか

ジンベエ
ジンベエ

安定的な高配当&増配銘柄でFIREを目指す場合、取得優先順位は低いと考え、
21年10月時点、保有を見送りました

投資は自己責任・自己判断でお願いします

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